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ランニングマシン
神田由紀恵は二児の母である。週に一回の平日休日には近くのフェットネスクラブに行くのが習わしになっていた。
まずは、ランニングマシンで軽く汗を流す。午前中の時間は人が少なく閑散としているため、集中してトレーニングが出来るのだった。ホットパンツにTシャツという若々しい服装をしているが、それが不自然に感じないほどの肌と身体をキープしている。走るたびに揺れる大きな乳は、Tシャツで谷間を隠せないほどだが、本人はそれを気にしているどころか自慢に思っていた。少ない男性客やインストラクターがチラチラと見てくるのも分かっているが、むしろ誇らしい。
「ふー、まずはこれくらいにしようかな・・・」
近くの椅子に座り水分補給をする。すると、後から一人の女が入ってくるのだった。佇まいで自分に自信を持っていることが分かる、美人の女性だ。ランニングマシンは二台並んで配置されているのだが、自分の使用していたマシンの隣で走り出す。すると、クラブ内の男性の目はそちらに注がれだしたのだ。由紀恵にも理由はすぐに分かった。自分と同じだ。魅惑的な身体を押し込んだ若々しい服装に、大きく揺れる胸。そして、それを気にもとめない佇まいと、伺えるプライドの高さ・・・。
同族嫌悪というものだろか、由紀恵は軽く苛ついた。すると、由紀恵は隣のランニングマシンに乗り、一緒に走りだしたのだった。ランニングマシンというのは、隣の人が気になるものだ。負けず嫌いの2人が並べば、どちらかが限界まで走ることも少なくない。由紀恵は静かな勝負を仕掛けたのだった。
一定のリズムで走る両者。時間は刻一刻と流れる。由紀恵はもちろんのこと、隣の女も明らかに意識しているのが分かった。二人共ブルンブルンと揺れる大きな胸を無視して、必死に走る。
はぁ・・・はっ・・・はぁ・・・・
どちらのともなく、呼吸音が荒くなってくる。時間もずいぶん過ぎ、そろそろどちらも限界のようだった。
(ダメだ・・・そろそろ走れないかも・・・・)
由紀恵が心の中で根を上げ、走るのをやめようとしたその時
ガタン
と、大きな音がした。隣に目を向けると、女が座り込んでいた。
どうやら、足がもつれて倒れたようであった。
(ハァハァ・・・・、私の勝ち・・・)
心の中で勝利を噛み締めて、隣の女を見下す。
見下ろす女と見上げる女。この構図が勝者と敗者を明確にしていた。
見上げる女の屈辱と敗北を知った目つきが、いっそう由紀恵を興奮させる。
ゾクゾクっ・・・とした。
(あー・・・気持ちいい・・・。)
「ハァハァ・・・ハッ・・ハッ・・・」
隣でひざまづく女も何か言いたそうにしていたが、疲れと屈辱から、なかなか言葉が出ないようだ。
その女の様子を見て。由紀恵は鼻であしらい、満足そうにトレーニングルームを出て行ったのだった。